新作イラスト、仕事9点、個展のオリジナル作品7点を更新しました。よろしかったらご覧ください。
坂川塾でお世話になった装丁家の坂川栄治さんがお亡くなりになって
早一か月が経ちました。
8月の頭に長野の別荘で急逝されて
最初は実感が無かったのが正直な気持ちでした。
訃報をお聞きして6日後ぐらいに
坂川さんとのやり取りや、優しくしてくれたことを思い出し
夜更けの仕事部屋でハラハラと泣きました。
いつか坂川さんに伝えようと思っていて伝えられなかった事を
一年前にファイルを見ていただいた時になぜ言わなかったんだろう。。
なんて後悔もしました。
坂川さんから教わったもの、いただいた言葉
優しさ、今はそんなものが宝物のように思えます。
また坂川さんとご一緒していると、よく人や物を観察していて
柔軟に反応したり分析しているのが分かり
そんな素養もクリエイターとして生かされている気がしました。
見知らぬ土地の公園の砂場で、遊んでいる子供達の輪に入り
大真面目に一緒に遊べるオジサン。
というのが私の坂川さんのイメージです。
こんなに心が柔軟な人がいるのだな、と驚きました。
最後に一緒にお酒を飲んだ時、私は眠くなり大あくびをしてしまったのですが
それを見て「わははははっ!!」と大笑いをしていました。
70歳で事務所を閉じて、それからは絵本作家になるとおっしゃっていたのですが
その夢を実現することなく他界され、天国でゆっくり絵本を制作されて
いるのでは?と思う今日この頃です。
もっと生きて絵本を作ってもらいたかった。
そうしたらどんな絵本を作られたのだろう?
そんな気持ちが今でも心に残ります。
坂川塾の頃、坂川さんがフェイスブックで「この絵本がとても良かった!」と
紹介されていて、思わず衝動買いしてしまった絵本があるので
ご紹介しておきます。
「この本をかくして」
マーガレット・ワイルド文
フレヤ・ブラックウッド絵 アーサー・ビナード訳
岩崎書店
ヨーロッパの街の図書館が戦争で爆撃を受け
たった一冊の本だけが手元に残り
それを必死で守り抜いた父親と息子のお話です。
ドローイングとコラージュで制作された絵が、素朴で少し物悲しく
人としての尊厳を感じる静かな感動をくれた絵本でした。
その輝かしい業績もさることながら
見た目も人柄も存在感があってチャーミングだった坂川さん
鮮やかに生きて、風のようにこの世から姿を消してしまいました。
どうか心安らかに天国でお過ごしください。
そしていつかお会いできた時には、お伝えしたかったことを
お話させてくださいね。