新作イラスト、仕事9点、個展のオリジナル作品7点を更新しました。よろしかったらご覧ください。
ここ一カ月、色々なタスクがひしめきあい
何かと落ち着かない日々でしたが
やっとひと段落してきました。
遅ればせながら、先月伺った装丁家の宮川和夫さんの講演会のお話です。
(於:板橋区氷川図書館)
宮川和夫さんは2014年に実践!装画塾で講師をされていた時
私が塾生としてお世話になり、その後、(一社)日本図書設計家協会という
装丁家と装画家の集まる協会でも会長をされて、ご一緒させていただいた
装丁家(ブックデザイナー)の方です。
宮川さんの装丁を初めて拝見したのは、7年前の装画塾だったと思いますが
個人的には、文字ってこんなに美しかったのか!とか
その本の文章の空気をまとう「間」のようなものを
感じさせてくれる、美しい装丁をされていると思いました。
言葉では上手く伝えられないので、よかったらHPをご覧ください。↓
宮川和夫事務所の装丁作品と連絡先 (miyaga.wixsite.com)
その宮川さんの「文章をカタチにする装丁家とは何者だ。」という
タイトルの講演会が開催されたのですが
あらためて、文章の羅列(テキスト)を形にする、具現化することの
意味を考えさせられた講演でした。
途中、ワークショップもあったのですが
小椋佳さんの「揺れるまなざし」という歌詞を読んで
その装丁を考えてみてください、というものでした。
文章の羅列を形にする、イメージするワークショップなのですが
同じ文章でも、皆さんそれぞれまったく違ったイメージを抱いていて
幾つものアイディアを、これ!と言って一つに絞る「装丁」の
難しさをあらためて感じました。
宮川さんは歌も上手いのですが、この日は
ワークショップの曲を朗々と歌ってくれました。
久しぶりにお会いしたら、額に北斗七星のような赤い湿疹ができていたので
「宮川さん、体調大丈夫かな?」と思っていたのですが
それを払拭するような歌いっぷりでした。(個人的には大ウケでした)
大真面目に装丁を語りながら、チャーミングな一面も垣間見せてくれるところが
宮川さんらしいです。
最後に宮川さんの「装丁家の仕事とは何か」の文章より
一部抜粋して転記させていただきます。
「映画監督がいないと映画はできない。映画とは映画監督の世界観を観客に提示する行為だ。映画監督は自分では演技はしないが、役者を使い、カメラマンに指示し、そこに美術や音響などを加えて作品を作り上げる。
装丁に置き換えると、編集者はプロデューサー、役者はイラストレーター
(時にカメラマン)、美術は印刷や用紙や製本、脚本家は著者、それらを駆使して文章をビジュアル化するのが装丁家(=映画監督)である。
本は読者の数だけ映像(読者の見た世界)があるが、それをあたかも
「それが正解」かのように装丁という世界に結実させる。
虚を実にする。それが文芸における装丁家の仕事である。とは言え、紙の本が売れなくなって久しい昨今、いつまでこの仕事が必要とされるのか、畳がなくなったように、襖がなくなったように、床の間がなくなったように、それは時代の流れという濁流に吞み込まれていくのかもしれない。」