新作イラスト、仕事9点、個展のオリジナル作品7点を更新しました。よろしかったらご覧ください。
遅くなりましたが、2月に伺った展示の話をさせてください。
坂川塾でお世話になった、故坂川栄治さんの
自伝的小説「遠別少年」をリメイクし、そのカバーを
10名のブックデザイナーの方々が作り展示販売されていた
装丁夜話「遠別少年」装丁展に伺いました。
参加されたブックデザイナー、イラストレーターの方々は
〇ブックデザイン
坂川朱音さん、藤田知子さん、坂野公一さん、石間淳さん、小口翔平さん
阿部美樹子さん、近田火日輝さん、白畠かおりさん、福田和雄さん、
折原カズヒロさん
〇イラストレーション
浅妻健司さん、草野碧さん、さかたきよこさん、高栁浩太郎さん、平井利和さん
三橋乙椰さん、保光敏将さん、横山雄さん、3WDさん
それぞれのクリエイターが趣向を凝らし、坂川さんの「遠別少年」を
解釈し、坂川さんへの想いを込めて制作したのではと感じました。
どの方の装丁もため息の出るような本に仕上がっていて
見応えのある展示でしたが、こういった装丁展の面白さは
普段の商用ではできないチャレンジができる事なのかもしれません。
坂川栄治さんの「遠別少年」という小説を今回初めて
じっくりと拝読しましたが、北海道遠別市で育ち
その厳しい自然の中での栄治少年の体験記
(幾分かのフィクションが混じっていると思います)が
繊細で大胆な文章で綴られていました。
「赤い雪」の章では、雪の中で鶏の屠殺を見ていた体験を
書かれていましたが、人の営みには残酷な部分があるということを
生物の生命力と死を、シンプルに表現されていて印象深かったです。
私は今回、福田和雄さん/平井利和さん、藤田知子さん/浅妻健司さんペアの
装丁本を購入しました。
藤田さんのカバーはリバーシブルになっていて
両面、浅妻さんのイラストが贅沢に使われていました。
雪がチラチラと降っているところに
ラメが施されているのが絶妙に浅妻さんのイラストと合っていて
雪の降り始めの空気感が表現されているようで素敵でした。
福田さんのカバーはタイトル文字がまったく無いのと
艶のあるインクやマットなインクを使い分けて
平井さんの大胆なイラストを表現されていて、インパクトがありました。
少年の無表情さと、使用している色や質感から
気温の低さを強く感じ、面白いなと思いました。
5月には追加の展示が開催されるようです。
坂川さんも会場のすみにドカッと座って観ているかもしれません。
(見える人には 笑)
よろしかったらぜひ。
会期:5月20日~22日、27日~29日(12:00-19:00)
会場:Gallery装丁夜話